舛添要一厚生労働相は19日夜、東京都内で記者団に対し、「後期高齢者医療制度(長寿医療制度)に代わる新しい医療制度を創設する」との方針を明らかにした。

対象者を「75歳」という年齢で線引きしないことや、年金からの保険料天引きを強制しないよう設計するのが特徴。

10月15日の保険料天引き拡大や次期衆院選が近づくなか、批判の強い制度を見直すことで国民の支持を取り付ける狙いがあるとみられる。

新医療制度は政府・与党で一年程度かけて議論する。

原則は、

1、年齢のみで対象者を区分しない。

2、年金からの保険料天引きを強制しない。

3、世代間の反目を助長しない仕組みを財源などで工夫する。

 

お年寄りに反感をかった後期高齢者医療制度を実質、廃止するという内容の発表だったのですが、自民党の衆議院選挙対策であることはいうまでもありません。問題は新内閣がどう扱うか?ですが、もし自民公明党が過半数を制したら、「そんなこと誰が言ったのか?」と答弁する怖れは十分ありますよ。

 

後期高齢者医療制度は、2008年4月1日、施行されました。これによって、年金から保険料が自動引き落としされ、混乱を招いたのです。実際、まだ説明が行き届いていない状況下で施行されたので、いま一つ仕組みを理解できていないという人はかなり多く、9月の今でも尚、十分な説明は成されていないのが現状です。

では後期高齢者医療制度は、どういった経緯でこの制度が生まれたのでしょうか?

後期高齢者医療制度は、75歳以上の年齢の人を対象とした医療保険制度で、他の健康保険とは独立しています。
(なお、この名称は、施行日の当日に長寿医療制度と変更されました。)
この変更に関しても、あまり良い印象を持っていない人が多いようでした。長寿医療制度ではなく、姨捨保険制度の名称の方が理解を得易かったのでしょう。。

まず、後期高齢者医療制度は75歳以上の人に適用される医療保険制度であることを理解しましょう。

この長寿医療制度(後期高齢者医療制度)は、元々は国の医療制度改革の一環として発案されたものです。高齢者の医療は、これまで老人保健法という法律のもとで行われてきており、その法律は高齢者の医療に対して負担をできるだけ少なくしようというものでした。
その分の負担は国や都道府県、市町村からの負担金や健康保険などで賄ってきたのですが、近年社会が高齢化によって高年齢層の人々が増え、上記の財源だけでは補えなくなってきたのです。最近のお年寄りはなかなか逝きませんからね。その補填を行う為に、後期高齢者医療制度が誕生したのです。

 


4月1日に後期高齢者医療制度が導入されて以降、年金からの自動引き落としに関する問い合わせが殺到しました。一体何故このような事態になったのかというと、後期高齢者医療制度に関する説明が行き届いておらず、制度自体知らないという人が大勢いたからです。今でも理解されていません。

後期高齢者医療制度の目的は、高齢者の医療費を捻出するためです。現在、日本では65歳以上の人口に占める割合は20%を超えています。
75歳以上でも10%に達しています。すなわち、10人に1人は75歳以上の高齢者であるのです。この状況を受け、若年層や中年層などの現役年代と、高年層の負担能力をある程度フラットにしなければ、将来的な高齢者の医療費が確保できないという結論に達しったのです。
そこで、これまでは国民健康保険の加入者が扶養していた75歳以上の高齢者は保険料を免除していたところを、全員が支払うようにしたのが、後期高齢者医療制度なのです。

この後期高齢者医療制度によって、75歳以上の高齢者とその扶養家族は新たに保険料を支払う必要が生まれました。そして、その分の保険料は年金から天引きされるようになりました。現在も問題になっている年金の引き落とし問題は、これが原因です。消えた年金、消した年金で国民の取り分が少なくなっている上に天引きですから、「取るものは、しっかり取る」という姿勢の現れなんですよ。

高齢者の医療費に関しては、これまで老人保健法による医療制度によって制定されていました。それが、後期高齢者医療制度で定められた事項に従うということになりました。

では、具体的にはどこがどう変わったのか?

第一に、老人保健法による医療制度は、市町村が運営の主体を担ってきました。それに対し、後期高齢者医療制度は、県内の市町村が加入する広域連合がそれを運営することになりました。
独立した形となった訳です。
よって、これまでは国民保険、健康保険組合などの健康保険に加入していることで医療費負担の軽減や保険料の免除が行われてきましたが、後期高齢者医療制度の定める加入条件は国民保険、健康保険組合などの健康保険から脱退し、県の後期高齢者保険に加入する必要が生まれました。

ただ、この手続きに関しては不要で、自動的に脱退から加入、という流れになっています。
つまり、75歳になったから、またはもう既に75歳以上だからということで、健康保険を自分で脱退し、改めて県の後期高齢者保険に加入する、というようなことはしなくて良いのです。

後期高齢者医療制度への移行の最大の変更点は、この独立にあったのです。
こうすることで、保険料を支払わなくてよかった従来の制度から、保険料を支払う必要のある制度へと移行することが可能になった訳です。実際にはあまりピンと来ない人が多いでしょうが、言ってみればいきなり保険会社を別のところに変えさせられたようなものです。

 

従来の高齢者医療の基準を定めていた老人保健法による医療制度では、対象者は75歳以上の高齢者、若しくは65歳以上で一定の障害を持っている方という定義がなされていました。これに関しては、後期高齢者医療制度でも同じです。
75歳以上、若しくは65歳以上で尚且つ一定以上の障害を抱えている方が対象となります。

ただし、対象となる日が変わります。これまでは、75歳の誕生日の翌月の1日が対象となる日でした。
つまり、5月10日が誕生日の人は6月1日、8月4日が誕生日の人は9月1日、11月10日が誕生日の人は12月1日からが医療費軽減や保険料免除の対象となっていたのです。
しかし、後期高齢者医療制度では、75歳の誕生日の当日からが対象となります。

また、病院に診て貰いに言った際に窓口で見せる物も変更されました。これまでは、その窓口で健康保険証と医療受給者証という二つの証明書を見せていましたよね。それが、今後は後期高齢者の保険証のみという形になりました。
よって、これからは窓口でこれまで持っていた健康保険証と医療受給者証ではなく、後期高齢者の保険証を見せなければなりません。これも、後期高齢者医療制度の抱える問題の一つになったのです。

 

老人保健法による医療制度では、医療機関にかかった際の医療費の自己負担額は、通常一割、現役並みの所得者は三割という基準が設けられていました。
これは、後期高齢者医療制度でも変わりはありません。
医療費負担額の割合は、一割ないし三割で固定です。

それでは、なぜ高齢者の負担が増していると報道されているのか?
その要因は、保険料にあるのです。

老人保健法による医療制度、つまりは従来の制度では、健康保険に加入している人に扶養されている高齢者の方については、保険料は免除となっていました。
しかし、後期高齢者医療制度では、75歳以上、もしくは65歳以上で一定以上の障害を持っている方は、健康保険から強制的に脱退され、県の後期高齢者保険に加入することになります。よって、これまでのような免除は受けられなくなりました。加入者全員が広域連合に対して保険料を支払わなければなりません。

加えて、年間18万円以上の年金需給を受けている方に関しては、この年金から保険料が天引きされます。これが、4月1日以降世間を騒がしている原因です。
この天引きされるということを知らなかった人たちは、年金から誰かが勝手にお金を持ち出した、あるいは自分だけ不当に下られたと思い、様々な機関に問い合わせを行ったというわけです。社会保険庁は信頼されていませんから。

また、中には4月から保険料が必要になるということを知らなかった人もたくさんいましたし、高齢者の医療制度が変わるということも知らない人は大勢いたようでした。
情報化社会が叫ばれて久しいですが、長寿医療制度(後期高齢者医療制度)の普及はうまくいかなったのが現状です。

 

1、年齢のみで対象者を区分した。

2、年金からの保険料天引きを強制した。

3、世代間の反目を助長した。

政府与党の本音は、75歳以上の年齢の人達に集団自決用の手榴弾を配ることにあったと邪推されても仕方ないのです。

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